『紀元1年が、こんなんだったら!?』はただのおバカ映画じゃない!教養が試されるコメディ映画

映画レビュージャック・ブラック

『紀元1年が、こんなんだったら!?』はアメリカで2009年に制作されたファンタジー・コメディ映画です。監督は『アナライズ・ミー』シリーズ等を手掛けたハロルド・ライミス。主演が日本でも人気のあるコメディ俳優ジャック・ブラック(『スクール・オブ・ロック』や『僕らのミライへ逆回転』など)とコメディ映画好きにはたまらない。かなり豪華な組み合わせの映画です。本日はこの映画のご紹介をさせて頂きます。

紀元一年といえばもうローマ帝国が成立していますが、この映画の冒頭では主人公たちは原始的な暮らしをしています。主人公のゼドは狩猟も採集もへたくそで集落の厄介者でした。意中の女の子に振られたゼドは一発逆転をねらって、村の掟で禁じられている禁断の実(知恵の実)を食べてしまいます。そのことがばれたゼドは村を追放され放浪の旅へでますが、その旅は各地の伝説的なお話をめぐる旅になるのでした。

 

この映画は旧約聖書の有名エピソードを笑い飛ばしていくような流れになっています。紀元1年よりほとんどが前の話なのではないかとも思いますが、コメディ映画ですのであまり気にしない方がいいかもしれませんね。ただ多少は知識として元ネタを知らないと楽しめませんので、簡単にご紹介いたします。

まず最初に主人公ゼドが食べる「禁断の実」は「知恵の実」ですね。旧約聖書の「創世記」にでてくる有名なアイテムです。エデンの園にすむ最初の人間アダムとイブがヘビにそそのかされて食べてしまい知恵を得ますが、そのせいで神の怒りをかってしまい楽園を追放されることになります。ゼドの集落は楽園と呼べるのかは微妙ですが、追放の理由としては同じです。

放浪の旅にでたゼドが最初に出会う「カインとアベル」の兄弟。これも旧約聖書の登場人物で、映画でも聖書でも兄のカインがアベルを殺してしまうのですが、旧約聖書ではこれを人類最初の殺人としています。このお話はよく他の映画でも引用されていますので、覚えておくとどこかで得した気になるかもしれません。カインはついでに世界で初めて嘘をついた人間でもあります。映画でもたいがいな人物として描かれています。

 

殺人を犯したカインとともに主人公が逃げた先で出会うのが、「エイブラハムとイサク」の父子。彼は年老いてできた一人息子を神の生贄にささげたことで、旧約聖書系の宗派では模範的な教徒とされる人物です。実際は殺そうとしたところで心意気を認められるのですが、映画でも同様の行為を行おうとしますが、途中からは独自の展開となっています。

 

その後、主人公が落ち着くのが「ソドムの街」。ソドミーの語源となった背徳の都です。こちらは旧約聖書のみならずキリスト系の各宗派で悪徳の都として、例に上がるような街です。いろんな映画の登場人物が悪い場所や逆に夢のような場所の例えとしてセリフでいう事が結構あります。主人公には一番のお気に入りの場所のようでした。主人公を裏切ったカインが先に到着していますが、これは映画のオリジナルの展開です。

ソドムの町では太陽信仰のような宗教がはびこっており処女を生贄にすることで、雨乞いが行われていました。ゼドは一目ぼれした王女を救うために悪徳神官の欺瞞を暴きます。これは旧約聖書からではなく、アステカ文明をモチーフにした過去の悪習のイメージのような感じでしょうか。特定の出展があるのではなく昔の不合理な慣習の象徴だと思います。

まとめ

いかがでしょうか。『紀元1年が、こんなんだったら!?』旧約聖書を中心に過去の習慣を現代の目線から笑い飛ばすような映画です。聖書に詳しい方なら楽しめるか、信仰心が篤い方ならお怒りになるかわかりませんが、ジャック・ブラックが好きな方なら楽しめると思います。一度ご覧になってもいいかもしれません。くせはありますがお好きな人にはかなり面白い映画かもしれません。