『地獄の黙示録 ディレクターズ・カット』のレビュー、ワンハリの裏に隠された、もうひとつのアメリカの真実。

映画レビューマーロン・ブランド

ベトナム戦争の真っただ中。

地獄のような戦場へ送り込まれた陸軍兵士の悪夢とは…。

日本での初公開から早40年。今回は高画質でよみがえった戦争映画の傑作地獄の黙示録 ディレクターズ・カットについて紹介していきたいと思います。

あらすじ

戦場へと戻ってきたアメリカ陸軍のウィラード大尉。

軍の上層部からカーツ大佐の暗殺命令を受けた彼は、現在、男がカンボジアのジャングル奥地で教祖として崇められているという真実を知らされる。

なぜ、カーツは、兵士をやめ、そのような選択を選んだのか…。

謎を追い求め、仲間を引き入れた大尉は、河川の流れを遡って男のもとへと船を進めていく。

主人公の独白をもちい、他の作品とは全く異なるアプローチで戦争を描いているため、叙事詩的映画とも称された傑作。

大きな権力によって、一方的な見方でしか伝えられることがない戦争の恐怖や、異常な環境下に置かれた人間の狂気など、現代の日本人にとっても共感しやすいテーマが描かれており、今だからこそ観ておきたい不朽の名作でした。

今回の再上映で注目のIMAX

近年、『2001年 宇宙の旅』や『ブレードランナー ファイナル・カット』といった名作の数々を復刻してきたIMAX上映ですが、コチラでは映像と音響の品質が通常上映とは格別です。

現代の最新技術によって、高画質、高音質でよみがえった名作には、かつてとは全く異なる印象を受けるはず。

まるで、実際の戦場にいるかのように鳴り響く銃撃の音、そして、鮮明な映像ではっきりと映し出される夜の闇。IMAX上映では、これまでの上映で感じることさえ出来なかった、作品本来が持つ魅力を存分に発揮しているのです。

さらに、今回の再上映は全国のIMAX劇場のみでの期間限定上映となっているため、どこの映画館でも抜群の臨場感で作品を楽しむことが出来ます。

また、日本の上映から、すでに40年が経った本作ですが、近年公開された映画との意外な繋がりにより、色あせるどころか新たな魅力が発見できるのも本作の大きな見どころ。

その例の一つとして、本年度の第92回アカデミー賞にて約10部門がノミネート、見事、助演男優賞と美術賞を獲得した作品『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が挙げられます。

 

『地獄の黙示録』の舞台はベトナム戦争最中の1969年。そして、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で描かれているのも同じく1969年のハリウッド。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』では実在に起きたハリウッド女優の惨殺事件「シャロン・テート事件」が重要なテーマとして描かれていましたが、同じ時代を舞台にした『地獄の黙示録』の劇中でも同事件について言及される場面があるのです。

 

どちらの作品も事実を基にしているものの、描かれているのはフィクションの物語。

しかし、その出来事に対して、映画ならではの「救済」を描いた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』と、救いようのない「地獄」を描いた本作を見比べると、新たな発見があるのかもしれません。

 

182分という上映時間の長さ、戦争の理不尽さを徹底的なまでに描いた脚本。

そのため、観終わった頃には、かなりの疲労を感じるかもしれませんが、是非、IMAXの大迫力で味わってほしい本作。

これまで観たことがないという人はもちろん、通常公開版や特別公開版をすでに観たという皆様にも、IMAXの大迫力で鑑賞していただきたい必見の一作です。