ハリソン・フォード最新作『野性の呼び声』レビュー。人間と犬の友情が織りなす感動アドベンチャー

映画レビューハリソン・フォード

『スター・ウォーズ』、『インディ・ジョーンズ』シリーズのハリソン・フォード主演最新作『野性の呼び声』が、2020年2月28日より全国公開中です。

100年以上にわたって愛され続けた、ジャック・ロンドンの名作小説を映画化。人類未踏の地に挑戦する男が、一匹の犬を相棒に冒険を繰り広げる、スペクタクルドラマです。

『野性の呼び声』ストーリー

セント・バーナードとスコットランド牧羊犬の雑種・バックは、カリフォルニアのミラー判事の邸宅で暮らしていましたが、4歳の時にさらわれてしまいます。

以後、カナダのユーコン準州でそり犬をさせられる生活を強いられていたバックは、ほかの犬からいじめを受けるも、恵まれた体格と知恵を駆使して、先導犬となります。

やがて郵便物を運ぶ仕事に就くも、政府命令により郵便配達が休止され仕事を失ったパックは、新たな飼い主の元で過酷な労働を余儀なくされます。

そんな状況を救ったのが、一人で旅をする男ソーントン。

いつしかソーントンとの信頼と友情を育んだバックは、彼が追い求める「地図に載っていない未開の地」を共に目指すことに。

あらゆる大自然の脅威を乗り越えた先で、彼らを待ち受けるものとは――。

アメリカでは知らぬ者がいないとされる冒険小説を完全映画化

本作の原作は、1876年生まれの作家ジャック・ロンドンが、カナダのゴールドラッシュに参加した際の見聞を下地に、1903年に出版した「野性の呼び声」です。

アメリカでは学校の課題図書に指定されるなど、万人が知る一作となっているこの小説は、当然ながら何度も実写化。

1923年のサイレント映画版に始まり、『野性の叫び声』のタイトルで、1935年と72年にそれぞれ映画化。その後も97年にルトガー・ハウアー主演のテレビ映画『ザ・サバイバル』や、2002年にはアニメ映画も製作されていますが、いずれも原作を完全映像化するには至っていませんでした。

しかし、今回の2020年版では初の“完全実写化”が実現。現代の撮影技術の進歩がそれを可能としたのです。

言葉の壁を越えた人間と犬の友情、名犬パックの愛くるしさに注目!

本作は製作会社こそ20世紀フォックスですが、ディズニーに買収されたことで、実質的なディズニー映画です。

ディズニーでは動物が人間の言葉を喋るファンタジー要素の高い作品を多く手がけますが、本作でのパックは会話が出来ません。

ただし、前述した「現代の撮影技術の進歩」が如何なく発揮されているのが、ハリソン・フォード扮するソーントンと、相棒となる犬のパックとのやり取りで、間違いなく本作の一番の見どころと断言してもいいでしょう。

言葉こそ喋らないものの、人間の言葉を理解できるパックは、おちゃめな仕草をしたり、ソーントンに怒られても知らんぷりをしたりと、十分すぎるほどのコミュニケーションを取ります。

さらにはソーントンと肩を寄せ合い星を見上げたり、酔っぱらったソーントンの酒を取り上げたり、それでいてソーントンがピンチの時には、果敢に敵に立ち向かいます。

そもそも、本作監督のクリス・サンダースは、大ヒットアニメ『リロ&スティッチ』、『ヒックとドラゴン』を手がけた人物。二作とも、種族の壁、言葉の壁を越えた者同士の友情を描いてきた名作アニメとして知られているだけに、こうした“バディムービー”づくりはお手の物なのです。

まとめ

ソーントン役のハリソン・フォードが主演となってはいるものの、実質的な主役は犬のパックです。

撮影時に人間がモーションキャプチャーで演じた動きを、CGで犬にコンバートしているため、正直、パックの表情が過剰に豊かすぎないか?とも思わなくもありません。

しかしながら、様々な人間や犬たちと巡り合うことで自身も成長していくという、ヒューマンドラマならぬ、“ドッグドラマ”として観られる一本となっています。

ソーントンがパックに語りかけるセリフ「お前はペットじゃない」や、切なくも感動的なラストといった印象的なシーンも多いので、犬好きな方も、そうでない方も観てみてはいかがでしょうか。