シリーズファン期待の新作「エースコンバット7」を辛口レビュー!キャンペーンシナリオから難易度、PC版の不遇について

PS4エスコン7, エースコンバット7, ACE7

10年以上ぶりのナンバリングタイトル

前作エースコンバット6が発売されたのは2007年で、なんと11年前です。当時、エースコンバットの新作が次世代機で発売されると聞いて、Xbox360を購入したのが物凄く遠い昔に感じます。正直な話、もう新作は出ないと思っており、エースコンバット7の発表があったときは、1ファンとして喜びと共に驚きました。

今回はそんなファン待望の新作「エースコンバット7」のレビューを行います。なお、筆者は歴代のエースコンバットをすべてプレイしている熱心なシリーズファンであるため、歴代ファン向けの視点がどうしても多くなってしまうことをご了承ください。なお、今回はPC版でプレイしました。

ファン向け要素多めのキャンペーンシナリオ

エースコンバットのメインコンテンツといえば、戦争を通じて成り上がる英雄譚を堪能できるキャンペーンモードです。筆者は難易度ノーマルでプレイしました。

今作のキャンペーンモードは、主人公が所属する「オーシア連邦」とその敵国「エルジア王国」間で行われます。この2国はPS2で発売されて「エースコンバット4」に登場しており、エースコンバット4で行われた戦争のことを、「先の大戦」と呼称し、仲間の無線やブリーフィング等で度々取り上げられます。

また、エースコンバット4でプレイヤーが破壊した大型レールガン「ストーンヘンジ」がミッション12で味方として登場することや、ミッション17ではエースコンバット4にも登場したエルシア王国首都「ファーバンティ」が再度登場するなど、数多くのファンサービスがあります。

また、エースコンバット5に登場した「ナガセ」をインスパイアした女性パイロットが登場したり、一部の地上部隊の声優が、エースコンバットアサルトホライゾンで登場した地上部隊と同じであったりと、エースコンバットファンであれば「この登場人物、どこかで見たことが・・・」と思えるような仲間が数多く登場します。

その他、ちょっとしたゲーム内の無線会話の中に過去作品で登場したセリフがそのまま登場するなど、細かいところに過去作品の要素が散りばめられており、エースコンバットファンであればあるほど、その要素に気がつけるかもしれません。

単なる英雄譚ではないキャンペーンのシナリオ

歴代エースコンバットのシナリオの多くは、経験も名声もない戦闘機パイロットが戦場で活躍し、最終的には敵味方から畏敬の念を持って扱われるようになる、英雄譚のようなシナリオでした。

しかし、エースコンバット7のシナリオでは主人公の扱われ方が異なります。ミッション1からある程度の腕前があるパイロットとして味方から扱われており、歴代エースコンバットでは中盤程度の雰囲気を冒頭から漂わしています。

その後ミッション4の結末により懲罰兵という犯罪者に落ち、懲罰兵だけで構成される「444部隊」へ左遷させられてしまいます。そこでは、戦争犯罪人として、同部隊のパイロットやAWACS(シリーズおなじみの早期警戒管制機)のオペレーターからこき下ろされながらミッションを行うことになります。

その後「444部隊」での活躍が認められ再度、正規兵として正規部隊に復帰した上で、敵艦隊の壊滅等さらに功績を積むことにより、エースパイロットとして終盤には扱われるようになります。

今までのエースコンバットでは「名もなき一般兵⇒エースパイロット」、という流れが一般的でしたが、エースコンバット7では「頼れるパイロット⇒懲罰兵⇒エースパイロット」と最底辺に落とされてから持ち上げられる、という新しい流れになっており、歴代シリーズプレイヤにとっては斬新な扱われ方をするな、と思うことでしょう。

厭戦間の漂う後半のシナリオ

もう一つ、シナリオで斬新な点をあげさせてもらいます。歴代エースコンバットでは敵首都攻略後にほぼクリアの雰囲気をキャンペーンシナリオ内では感じることができました。しかし、エースコンバット7ではさらなる戦いの始まりとなっています。

敵首都解放後、ある事件をきっかけに衛星を使った通信網が両軍とも崩壊してしまった結果、指揮系統が混乱し誰も戦いを止めることができなくなってしまいます。

その結果、敗北したエルシア王国では内戦が発生、オーシア連邦軍も味方同士で打ち合うなど混乱が止めどなく広がって行く上に、UAVが自律的に戦争を開始し始めるなど混沌が広がり続ける様相を呈してます。

最終的にはUAVの機能停止のため、エルシア・オーシア連邦の連合軍がUAV基地となっていた大型兵器「アーセナルバード」を撃墜、生産工場へ電気を供給していたタワーを機能停止させ、これまでの戦闘記録を保存していたUAVを撃破したことにより戦争は集結します。

キャンペーン後半で描かれるシナリオは英雄譚とはとても呼べない、厭戦感あふれる内容となっており、今までのエースパイロットシリーズよりも反戦的なシナリオで幕をおろします。

キャンペーンシナリオ総評:ファンにとって意外性のあるシナリオ。

キャンペーンのシナリオ内容についてですが、久しぶりのシリーズ新作ということで今までに描いたことのないシナリオを狙ったことは一目瞭然です。

単なる英雄譚ではない、厭戦感あふれるシナリオは私含め歴代エースコンバットファンにとって面食らったと思います。また、最後のボスが人間のパイロットが乗った有人戦闘機ではなく、UAVであるという点も今までにない要素といえるでしょう。

その他、名前ありの味方パイロットが数多く撃墜・死亡するシナリオは、エースコンバットシリーズではあり得なかったと思います。例えば、記事冒頭に紹介した「ナガセ」を模した女性パイロットや地上部隊はミッション中に死亡します。これは、今までのエースコンバットシリーズであれば、生き残る登場人物であり、意外性を狙ったものと考えられます。

また、「444部隊」に所属するパイロットもあっさりと撃墜されるなど、味方パイロットがモブのごとくシナリオから退場します。この点が賛否分かれる点かもしれません。

エースコンバット5であれば「チョッパー大尉」のように、名前ありのパイロットが撃墜されたことはあるものの、それは感動的なシーンであったり、シナリオの転換点であったりするなど、プレイヤーの印象に残る死に方でした。

しかし、エースコンバット7では味方パイロットはあっさりと撃墜され、シナリオから退場するため感動的なシーンになることも、印象に残る死に方をすることもほぼありません。

シリーズファンの予想を裏切りたいという思いは伝わるものの、やりすぎのような印象をうけます。また、歴代ファンを狙いすぎており、「ストーンヘンジ」等過去作の要素を詰め込みすぎており、セルフパロディのようなシナリオになっているのが気になるかもしれません。

キャンペーン難易度

エースコンバットシリーズは代を重ねるごとに難易度が向上していく傾向がありました。エースコンバット7もその例に漏れず、エースコンバット6より難易度が上がったと感じさせるシーンが多くあります。なお、今回のキャンペーンモードはノーマルを基準に評価します。

敵戦闘機の大幅強化

今作の難易度向上に大きく影響しているのが、敵戦闘機の強化と言えます。

その1点として、歴代シリーズに比べて同時に登場する敵の数が多いことが挙げらるでしょう。シリーズでおなじみの有人戦闘機は勿論、今作のゲームトレーラーで紹介された小型UAVが同時に出現するだけでなく、通常の戦闘機も同時に10機以上登場することは当たり前となっています。戦闘機を相手にする対空ミッションだけでなく、対地・対艦戦闘メインのミッションで戦闘機を放置すると、後ろに7~8機常に張り付かれたうえに、ミサイルが絶え間なく飛んでくることとなります。

更に飛んでくるミサイルの誘導性能も上がっていると感じました。例えば歴代のミサイルなら、横に避けるだけであっさりと避けれたことが多かったのですが、エースコンバット7では、同じ機動をとってもミサイルが当たることが多くあり、驚くことが数多くありまた。

その上、敵UAVの人間離れした超機動が難易度向上に拍車を掛けています。UAVは有人戦闘機では不可能な機動を取って、こちらのミサイルを回避するだけなく、主人公機の後ろに張り付き攻撃してきます。更に登場するシーンでは、同時に多数出現するためその厄介さに拍車を掛けているといえるでしょう。ミサイル1発で落ちるのがせめてもの救いです。(戦闘機はミサイル2発)

ミサイル切れの問題

敵戦闘機(UAV含む)の数が増えた上に、攻撃性が増したとなれば、仮にミッションターゲットでなくとも撃墜しなければ、ミッションクリアは難しい、というのはゲーマーであればすぐに思い浮かぶでしょう。

そうなると、敵戦闘機をまずは相手にすることになります。しかし数が多いためすべてを撃墜しようとすると、どうしてもミサイルが最終的に切れてしまい、ミッション終盤では非常に厳しい戦いを行うことになります。

救済措置として、ミサイル切れとなってもしばらくしたら2発だけ補充されるので、このシステムを活かせばクリアはなんとかできます。なお、一度撃墜されればチェックポイントからミサイルがすべて補充された状態から始まるため、あえて一度撃墜されるという手段も用意されています。(当然気分が良いものではありませんが。)

キャンペーン難易度 総評:歴代ファン向けの高難易度

ハード性能の向上も相まって敵戦闘機(UAV含む)の登場数や性能が強化されたことにより全体的に難易度は高い傾向にあります。とはいえ、歴代ファンであれば多少コンテニューすることになってもノーマルのクリアは容易と思います。全20ステージでこうせいしてありますが、筆者はおおよそ10時間程度でクリアできました。歴代ファン向けの難易度調整となっている、と言えるでしょう。

登場する兵器の魅力不足

エースコンバットシリーズといえば、戦闘機を始めとした兵器郡も魅力の一つですが、今作はこの点もイマイチとなっています。

登場機種の少なさ、バランスのいびつさ

エースコンバット7で搭乗可能な機体数は隠し機体含め全29機となっています。これは、最大機体数を誇ったエースコンバット5の53機と比べて約半分程度しかなく、寂しいと言わざるを得ません。また、推力偏向ノズルがついた機体とついていない機体だと、機動力の差がありすぎるため、性能で機体を選ぶと、どうしても特定機種を選ばざるを得なくなります。

さらにその傾向を強めるのが特殊兵装です。エースコンバットシリーズではミサイル・機銃の他に爆弾や高性能ミサイルといった特殊兵装を選ぶことが出来ます。この選べる特殊兵装は戦闘機毎に異なるのもシリーズ共通の特徴です。

この特殊兵装のバランスも悪く、一部の空対空ミサイルがずば抜けて優秀なため、ミッションによってはこのミサイルを積んでいる戦闘機を積極的に選ばざるを得ないことも多いです。

また、対地・対艦攻撃のみで終わるというミッションもないため、対空能力が劣る機体を選ぶ理由がほぼなくなっています。機体の性能の差・特殊兵装の差・ミッションの内容のせいで、機体間のバランスは歪です。

インパクト不足な大型兵器「アーセナルバード」

エースコンバットシリーズではおなじみの大型兵器ですが、エースコンバット7に登場するアーセナルバードは歴代の兵器に比べてインパクト不足と思われます。

「アーセナル」(格納庫)の名前が表すように、アーセナルバードのコンセプトはUAVの格納庫であるというのはわかりますが、大きさは歴代大型兵器のなかでも小さく、火力もアーセナルバード本体の火力は大したことはありません。さらに、同時に1機しか登場しないのも残念さに拍車を掛けています。

その上、シナリオ内に登場する2機のアーセナルバードのうち、1機はプレイヤーではなく、先の大戦で使われた大型兵器「ストーンヘンジ」が撃墜してしまいます。シナリオ的には新旧兵器の対決として面白いのですが、プ、あっさりと倒せる印象しかうけません。

アーセナルバードから大量にUAVが出現するインパクトはあるものの、兵器単体での評価はいまいちと言えます。

総評:兵器の魅力は不足気味

登場できる戦闘機の数の少なさ・バランスの悪さ、アーセナルバードのインパクト不足等、

歴代エースコンバットの中では兵器の魅力が不足していると言えるでしょう。

おまけ要素のマルチプレイ

エースコンバット7にはキャンペーンモードの他にマルチプレイがあるものの、空戦を扱ったチームデスマッチおよびバトルロワイヤルしかありません。そのため、戦闘機以外の機種の存在価値はマルチプレイにおいてかなり低くなっています。

歴代のマルチプレイでは、戦闘機・攻撃機・爆撃機が入り交じる首都攻防戦といった魅力的なモードがあったため、どの機種でも役割がありましたが、エースコンバットで7では戦闘機以外でマルチプレイに出撃することの意味はほぼないでしょう。

更にマップも少ないうえ、ゲームモードも空戦のみ、さらには特殊兵装の性能差から、マルチプレイの機種バランスははっきりといって悪いです。

このクオリティから、キャンペーンに対してマルチプレイはあくまでおまけ要素であり、マルチプレイを目的としてエースコンバット7を購入することはおすすめできないと言えるでしょう。

PC版の露骨な不遇

家庭用機版にはエースコンバット5(PS4版)もしくはエースコンバット6(XboxOne版)のリマスターが予約特典でついてきますが、PC版のPC版の予約特典はゲーム内で使える戦闘機が1機だけ増えるだけとなっており、露骨なPC版の露骨な不遇が明らかでした。

更にマルチプレイでは、通常のミサイルを特殊兵装のミサイルと同等の性能にするチートも蔓延しており、家庭用ゲーム機では起こりえない減少もすでに起きています。家庭用ゲーム機を持っていてさらにゲーミングPCを持っているユーザーの方は、ためらわず家庭用ゲーム機版を購入することをおすすめします。

シリーズファンの期待が高すぎ、これからの調整に期待

ここまでかなり辛口のレビューとなってしまいました。キャンペーンは意外性を狙いすぎたシナリオが足を引っ張っており、さらに登場機体の少なさ、バランスの悪さ、大型兵器のインパクト不足といった点が目についてしまいます。

久しぶりのエースコンバットということで期待値が高すぎたこともあり、1ファンとしては、やや厳しい視点になっているとは思います。

とはいえ、DLCも予定されている上に、パッチ等でバランス調整も入る可能性もあるため、エースコンバットのファンであれば購入を検討されても良いと思います。その細部から溢れ出す過去作品の要素から、過去作品を思い出すこと間違いありません。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。